何が起きたか

2019年2月16日、ロシアの地域リーグLCL(League of Legends Continental League)で、男性選手のみのチームROXが、当時女性選手のみで構成されていたVaevictis Esportsとの試合で、ドラフト(BANフェーズ)にてNami、Janna、Lulu、Thresh、Braumというサポート系チャンピオン5体を集中的にBANした。当時のメタで頻繁にBANされる顔ぶれではなく、「女性プレイヤーはヒーラー・サポート系しか使えない」という偏見をなぞるような選択だったため、視聴者やコミュニティから強い批判が起きた。試合自体はROX側が短時間で大差をつけて勝利したと伝えられている。

Inven GlobalDot Esportsの報道によれば、Riot Gamesはこの一件を調査し、最終的にROXへ公式警告を科した。

経緯・Riotの調査

Riotは当初、5体のサポートBANという行為自体は、当時のドラフトルール上「違反ではない」との立場を示していた。しかし試合中のROX側のボイスチャットを精査した結果、Vaevictisに対する侮辱的・見下すような発言が確認されたとされ、これらのBANが実質的に「相手チームへの侮辱行為」だったとRiotは判断。結果として、差別・侮辱を禁じる規定(discrimination and denigration rule)への違反と認定し、ROXに公式警告を出した。

翌2月17日には、同じくVaevictisと対戦したVega Squadronも、試合を意図的に長引かせる行為があったとして「スポーツマンシップ違反」「競技公正性ルール違反」で同様に公式警告を受けている。Esports News UKが詳細を報じた。Riotは両チームに対し、再犯の場合はより重い処分を科すと通告している。

一方でLCLのファン・コミュニティの一部からは、「通常の戦術的BANとどう区別するのか」「発言内容ではなくBAN行為自体を罰するのは行き過ぎではないか」といった反発の声も上がり、Riotの裁定そのものが論争の的になった。AltCharはこうした反発を伝えている。

論点

  • チャンピオンBANという「ルール上は合法な行為」が、意図次第で懲戒対象になり得るのか。線引きはどこにあるのか。
  • 処罰の実質的な根拠は「BANの構成」なのか、それとも「並行して行われた発言」なのか——ボイスチャットの内容がなければ同じBAN構成でも処分対象にならなかった可能性はあるか。
  • 「対戦相手を軽視・侮辱する意図」の有無を、運営(第三者)がどこまで客観的に立証できるのか。
  • 女性のみのチーム編成という背景が、通常の“煽りBAN”より重い評価につながった可能性はあるか。

注記

本件は2019年の出来事であり、現在のRiotのペナルティ運用基準とは異なる可能性がある。また、Vaevictis Esportsはその後、成績不振等を理由に2020年にLCLから除外されているが、本件との直接的な因果関係は確認されていない。当時のROX・Vega Squadron側のボイスチャット原文の詳細は報道によって表現に差があり、本記事は複数の英語メディア(Inven Global、Dot Esports、Esports News UK、AltChar)の報道を基にまとめている。日本語一次報道は見つからなかった。